始めたばかりの迷い読了 約3分

会計SaaS サインアップ後の体験改善

2023.11 – 2023.12UI/UXデザイン / チーム7名
課題
「サインアップ後の体験が悪いのではないか」という相談。ただし課題が本当に存在するのか、どこにあるのかが不透明だった。
役割と体制
UI/UXデザイン / チーム7名(PdM・eng・セールス・マーケ・サクセス)。社内ヒアリングによる現状整理からUI作成までを担当。
到達点
思考発話法のユーザーテスト5名を経てUI確定。プラン表はABテストまで実施。
ABSTRACT

「体験が悪い気がする」という曖昧な相談を、三種類のデータで「確信を持てないまま進めない体験」という課題に特定。「不明確から確信へ」を判断軸に三つの改善をプロトタイプの比較検証にかけて、UIを確定させた仕事です。

01ORIGIN

課題が「存在するか」わからない

マーケティングチームから「サインアップ後の体験が悪いのではないか」という相談がありました。よくある相談の形ですが、この時点では課題が本当に存在するのか、どこにあるのかが不透明でした。

判断

案を出す前に、体験からビジネス課題までを一本につなげて可視化する。

この状態で案を作れば、印象で作った施策になるから。

02IDENTIFY

三つのデータを、一枚のジャーニーに重ねる

一つのデータだけで決めていません。三つはそれぞれ見えるものが違い、重ねて初めて全体がつながるからです。

#使ったもの得たもの単独では
1社内ヒアリングサインアップ直前〜直後のユーザージャーニー(地図)社内の思い込みが混ざる
2定量データジャーニー上のどこに問題がありそうか(位置)落ちている理由がわからない
3ユーザー行動データ(録画基盤)仮説が実際の挙動と合っているか(裏づけ)全体像が見えない

三つを同じジャーニー上に重ねて、体験・数字・ビジネス課題を一枚で接続しました。「どこで・何人が・なぜ止まっているか」を、関係者全員が同じ画面で指させる状態になります。

現状(as-is)のユーザージャーニー。プロダクトの流れ・ユーザー体験・定量情報・課題がつながるように可視化した図
資料 02-1現状(as-is)のユーザージャーニー。体験の詰まりと数字を同じ軸に載せている

03CRITERIA

「不明確から確信へ」を判断軸に置く

詰まりが見えたら、すぐ画面を直したくなります。その前に一つ挟んだのが、目指す状態の言語化です。関係者で現状の体験とビジネス課題を眺めながら、サインアップ後に止まってしまうユーザーがどんな状態にあり、どうなるとよいのかを議論しました。

EXPERIENCE CONCEPT

不明確から、確信へ。

むずかしそう → できそうだという確信 / 次が不明 → 次が明確で気持ちよく進める

このコンセプトは、測るためではなく選ぶためのものです。案に迷ったときの判断軸として、そして「どういう状態を良しとするか」の認識を関係者間で揃える基準として機能しました。

体験コンセプトを整理した図
資料 02-2コンセプトと、それを流れに展開したto-beのストーリーマッピング
to-beのストーリーマッピング(サインアップから課金まで)
資料 02-2bto-beのストーリーマッピング(サインアップ〜課金まで)

04SELECT

詰まりのうち、影響が大きい三つに絞る

as-isジャーニーで見えた詰まりは一つではありません。その中から、目指す状態への影響が大きいものを三つに絞りました。

  1. 無駄な動線の削除
  2. 迷わせてしまうプラン表の改善
  3. ホーム画面に到達した後の「やること」の明示
判断

三つに絞り、残りはやらない。

数を絞ることで、検証で一つずつの効果を確かめられる粒度にするため。

05VALIDATE

現状案と比較して、「わかりやすかった」で終わらせない

改善案のプロトタイプを作り、社内でプロダクトをあまり触ったことのない5名に試してもらいました。検証の設計で意識したのは三つです。

  1. 比較できる形にする

    現状案と改善案の両方を試してもらう。改善案だけでは「わかりやすかった」という感想しか返ってこない。

  2. 迷いを本人の言葉で拾う

    タスクを提示し、思考発話法で進める。

  3. 成否と意欲を分けて聞く

    タスク完了の後に、利用の意欲度を別で聞く。完了できたかだけでは、続けたい気持ちになれたかはわからない。

比較検証に使ったプロトタイプの一部
資料 02-3比較検証に使ったプロトタイプ

06OUTCOME

UI確定と、捉えきれなかったこと

ユーザーテストの結果を反映してUIを修正し、最終案を確定。プラン表についてはABテストまで実施しました(結果の数値は手元に残っておらず、掲載していません)。

改善前のプラン表
改善後のプラン表
「やること」を明示した改善後のホーム画面
資料 02-4迷わせていたプラン表のBefore/Afterと、「やること」を明示したホーム画面

REFLECTION

被験者は社内の5名で、新規ユーザーの代理として設定しました。ただし社内である以上、前提知識はゼロではありません。本当の初見が何につまずくかまでは捉えきれていない——次にやるなら、社外ユーザーを1〜2名でも混ぜたいところです。

MAYOI RECORD

種類
始めたばかりの迷い。次の一歩が見えないのではなく、選択肢がありすぎて選べない。選べないまま、離脱する。
発見
人は「やりたいこと・やるべきこと」を明確に意識していない。できることが多すぎると、その組み合わせの中で何をすればよいかわからなくなる(やらないといけないことを抱えて使い始める、業務アプリだからこそ起きやすい)。
示唆
基本は、道を絞ること。選択肢を減らし、次にやることを示して「できそう」の確信を先に渡す。今回は動線の削減・プラン表の整理・やることの明示という形をとった。

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